ステンレス鋼総合案内

タカサゴスチールのステンレスは、あらゆる分野で多様化の夢を拡げます。

特長

1 豊富な種類

あらゆる用途に応じた鋼種、加工状況に合せた機械的性質ランク、極薄から厚物までの製品寸法等々 各種の製品を取揃えており、ご利用の目的・用途に応じた適切な選択が可能です。

2 すぐれた製品

製鋼から冷間圧延までの一貫管理体制の下で優秀な設備・技術を駆使して、豊富な経験を生かした 厳密な品質管理により、すぐれた品質を安定して供給いたします。

3 美しい表面仕上げ

高品位BA仕上げ製品・No.3からNo.7仕上げまでの研磨製品、およびヘアライン仕上げ製品。 各種めっき処理を始めとする表面処理製品等々多種多様な用途に応える美しい表面を誇っております。

4 ゆきとどいたサービス

永年にわたって蓄積された経験、すぐれた技術と強力な研究開発体制を基礎として、ステンレス鋼の 品質特性、用途、加工方法等についてのご相談やご使用時の技術的協力など、技術サービス部門が ゆきとどいたサービスを行います。

 

非磁性深絞り用ステンレス

非磁性深絞り用ステンレス

オーステナイト相をより安定化させ、冷間加工後もマルテンサイトが殆ど誘起されない為、製品加工後に非磁性を必要とされる機器向に最適です。

特長

  1. 加工度70%(Hv390)で透磁率(μ)1.01以下です。
  2. 耐食性はSUS304と同等かそれ以上です。
  3. 加工硬化度は最大Hv400です。

用途

・VTRガイドローラー ・OA機器部品 ・服飾金具 ・モーター部品 ・電磁弁キャップ ・医療器具 ・キャブレター部品 ・遊技用コイン ・その他

化学成分

鋼種記号 SUS305
C 0.08
Si 0.66
Mn 1.54
P 0.033
S 0.001
Ni 12.05
Cr 18.16

機械的性質

鋼種記号 SUS305
耐力
(N/mm2
260
引張強さ
(N/mm2
617
伸び
(%)
52
硬さ
(HV)
163

成形性

鋼種記号 SUS305
加工硬化係数
(n値)
0.40
限界絞り比
(L.D.R)
2.2
エリクセン値
(mm)
12

冷間加工率・透磁率・硬さの関係

図1、冷間加工率と透磁率の関係

冷間加工率と透磁率の関係

冷間加工率 %

図2、硬さと透磁率の関係

硬さと透磁率の関係

硬さ %

 

 

ステンレス総合 用途

エンボスステンレス

エンボスステンレス

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ランナーステンレス

ランナーステンレス

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すべらんなー

すべらんなー

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非磁性深絞り用ステンレス

非磁性深絞り用ステンレス

ニッケルめっきステンレス

ニッケルめっきステンレス

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バネ用ステンレス鋼帯

バネ用ステンレス鋼帯

 

抗菌性ステンレス

抗菌性ステンレス

抗菌性ステンレス

抗菌性ステンレス

 

ステンレス鋼の耐食性

ステンレス鋼は家庭用厨房、家庭用電化製品、自動車用品をはじめ車両、建築、業務用厨房設備、化学プラント等に広く使用され、私達の日常生活になじみの深い金属となっております。
このようにステンレス鋼が急速に普及しましたのは、ステンレス鋼が耐食性に優れた金属であることによると言われています。

その優れた耐食性は表面の不動態化によると言われており、その不動態は酸化被膜がステンレス鋼の素地と強く密着しているからであると言われ、特にBA仕上げの製品は図1に示しますように2B仕上げや研磨仕上げ製品と比較しその耐食性が高くなっております。

しかしながら、ステンレス鋼は使用する条件や環境によって耐食性にかなりの相違が生じ、また、局部的な腐食で使用上不都合が発生し使用不可能になる場合がありますので、これ等の原因並びにご使用の注意を簡単に記述致します。

粒界腐食

各種表面仕上げと耐食性との関係図

(図1)各種表面仕上げと耐食性との関係図

主に[オーステナイト]系にみられるもので、焼鈍温度より急冷する場合、必要な冷却速度が得られない場合や、 急冷したものを500℃~800℃程度の温度範囲に再加熱すると、結界粒界にそって著しく腐食されやすくなる現象をいいます。

とくに溶接を行なったときは溶融部のすぐそばにこの温度範囲の部分を生じ、粒界腐食が起こりやすくなります。
粒界腐食の原因については、Crの炭化物Cr23C6が結晶粒界に析出し、 この付近のCrの濃度が減少するために図2のようにはげしい腐食が起こると説明されております。
これを防止するために通常用いられている方法は、約1,100℃に再加熱して析出している炭化物をオーステナイト 中に溶解し、急冷することであります。
次には有害な炭化物が析出しない程度まで、Cの含有量の少ない鋼種を用いることであります。

実際にはSUS304L、SUS316L、SUS316J1L等が使用されております。第3番目の方法としては、Ti、NbのようなCとより 安定した化合物をつくり、しかもこれが粒界には析出しにくい元素を添加する方法であり、SUS321、SUS347が用いられております。

応力腐食

応力腐食

Cr量と腐食減量との関係図

引張応力を受けている材料が特殊な腐食環境にあるときに起こる腐食であって、「マルテンサイト」系に起こる場合は、水素脆性による割れと識別は困難のようであります。
「フェライト」系では一般に起こりにくく、「オーステナイト」系の場合は、引張応力、ハロゲインイオンの存在、温度などの条件で腐食の状況が左右されます。
応力でも圧縮応力は腐食を起こす原因とはならないので、たとえば、曲げられた管の場合、外側の引張応力を受けている部分にだけ割れが発生致します。

最小付加応力ははっきりせず、数10N/mm2の応力で割れが発生した報告もあります。
「ハロゲンイオン」としては、工業的に一番問題になるのはCl⁻ であってCaCl2、 MgCl2、として存在してるほうが点食を起こしやすく、NaCl、FeCl3、のときより影響が大であって、量としては数ppmで腐食の原因となった例もあります。
温度は50℃以下ではめったに 起こらず、90℃付近ではなはだしくなります。
防止方法としては、上に述べた条件が起こらないようにすることと、 Niの含有量の多い材料を選べば応力腐食は起こりにくくなります。

孔食

ステンレス鋼の場合、もっとも一般的にみられるのがこの点食であります。
発生の機構は、不動態が破壊され、 その部分が局部電池の陽極となり、陰極との面積の比が大きいことと、孔中に酸素が不足していることと相俟って、 腐食が深くなっていきます。
点食の生ずる因子の第一として「ハロゲンイオン」の存在、実際にはCl⁻ の存在があげられます。
次に、酸化剤の不足や液の酸性度、液の停滞、鋼の表面の不均一などがあげられます。
したがって、これを防ぐためには、表面を清潔にして、Cl⁻ が存在しないようにするとか、液のpHを高めるとか、 液を流動させるとか、あるいは点食に比較的よく耐える鋼種、たとえばMoを含んだものを選ぶなどの方法があります。

接触腐食

ステンレス鋼と他の金属または非金属が接触する場合の電池作用による腐食や、ステンレス鋼どうし、 または他の非金属とせまい間隙をつくって接触するときにみられる腐食であります。
したがって、ステンレス鋼の表面に異物、 とくに鉄粉などの金属粉や研磨粉等が、残存しないように十分注意しなければなりません。

各種環境中における腐食

(1)大気中の腐食

ステンレス鋼は清浄な大気中では一般的にさびが生じないで長くその光沢を保ち、とくに「オーステナイト」系では 屋外に10数年放置しても変化がなかったとの報告があります。
しかし実際にはCr系、とくに13Cr鋼ではしばしば発錆の事例がみられます。
これらの原因の一つとしては「ガス」の影響があります。
都市、とくに工業地帯では亜硫酸ガスが発錆の原因になり、 塩化水素ガスや硫酸のガスが含まれているときはさらに影響が大きくなります。

しかし、これらのガスも湿気の少ないところでは害は少ないので、材料の表面に付着して湿気をよぶ原因になる塵埃や汚れの存在は、 大気中の腐食の場合、重要な因子になります。
したがって表面は常に清潔に保たなければなりません。

(2)NaCl(食塩)による腐食

前に述べた応力腐食や点食の場合、Cl⁻ がその重要な因子となっておりますので、NaClの存在は好ましくありません。
しかし、ステンレス鋼の実際の使用上には汗や水の中に自然に溶けているNaClや食品等から、又、海岸地方では海水の飛沫よりNaClが付着する可能性が多く、 塩水中ではpHが3以下のときに全面腐食が起こり、3以上では点食が生じやすいので実際上NaClによる腐食は点食として現れる場合が多く有ります。
NaClに対する耐食性はCr系ではCr含有量の高いものほどよく、Cr系より「オーステナイト」系がよいといえます。
また「オーステナイト」系の中ではNi%の高いものや合金元素としてMo、Siを含むものがよろしいと思われます。

(3)各種酸、アルカリに対する腐食性

ステンレス鋼は硝酸(HNO3)に対してはすぐれた耐食性を示し、SUS430や 「オーステナイト」系は硝酸工業に使用されております。
硫酸(H2SO4)に対しては、 室温で濃度5%以下または90%以上のものにSUS309、310、446が使用可能であり、濃度20%以下、90%以上のものにSUS316、 317が使用できる程度であります。
また塩酸に対しては推奨される鋼種はありません(表2参照)。有機酸、 アルカリに対しては表1を参照して下さい。

 

→ 各種腐食媒質中における耐食性(表1・2、PDFデータ)

 

資料PDF

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